下北沢VR

イントロダクション

2018年東京・下北沢。再開発によって、その姿を大きく変貌させようとしている街。

一年前、両親が事件の犠牲者となり、父の友人の元へと預けられた「藤沢ハル」は高校生二年生となり、この街に戻ってきていた。
しかし、事件をきっかけに昔の面影は消え去り、人を寄せ付けない雰囲気となった現在のハルの様子にかつての友人たちは戸惑う。

周囲との距離が離れつつある中、同じ高校に通う「片瀬さくら」だけは、何をも恐れぬ天真爛漫さと持ち前の好奇心のおもむくまま、ハルとの距離を近づけてゆく。当初は苛立ちを覚えたハルであったが、さくらの物怖じしない言動と純真さに触れ、やがて陰日向となり力を貸す様になる。

二人の絆が深まりつつある頃、新たにやってきた転校生「栢山メイ」がハルに告げる。

「片瀬さくらの身に危険が迫っている」

突然の言葉に動揺するハル。メイに連れられて訪れた古着屋の主から「古びたピンズ」を手渡される。
ピンズを身に付け、開けた扉の先は───現在より少し先の未来世界。そこは、未来政府によって導入された「永遠無期刑」が存在する世界であった。

未来世界では仮釈放の可能性がない「永遠無期刑」の導入がなされていた。
人権派団体らが激しく糾弾し続ける中、労働人口の著しい減少を喫緊の課題としていた未来政府は、その打開策として永遠無期刑となった罪人を対象に、贖罪と社会奉仕を目的とした、ある技術の強制執行を決定する。

「ベクター レプリカント(VR)」システム

仮装現実(VR)の技術を用いて本人そっくりのコピーロボット(レプリカント)を使役し、現実世界で社会奉仕の為の活動を行うシステム。
レプリカントの行動は政府の完全な管理下にあり、本人の意思に関わらず活動を制御・監視されていたが、永遠無期刑となった罪人にとっては現実社会と繋がる唯一の方法でもある。
レプリカントを通じ、永遠に現実社会に奉仕し続ける。それこそが永遠無期刑の罪人に課せられた贖罪の方法であり、罪を悔い、慎ましやかに生きている…はずだった。

「ハル。あなたの両親を殺し、永遠無期刑となった罪人のレプリカントが見つからないの」